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【書評】『能ー650年続いた仕掛けとはー』能を始めたきっかけの一冊、能の経験値を測れる一冊

実は能のお稽古をしているぼく(ぼくみん (@b0kumin) on Twitter)です。

本書はそんなぼくに能(謡と仕舞)を始めるきっかけを与えてくれた本。

 

著者自身がワキ方能楽師でいらっしゃるため、「能というのはこういうものだよ」とレクチャーしてもらえる内容です。

観劇を始めたばかりの現時点では「そうか、そういうものか」と知識として受け入れる状態になるでしょう。

しかし、観劇の回数が増え、能の謡を習ってある程度年数が経った後にこの本をもう一度読めばより腹落ちするのではないかと思える、自分の能楽の経験値を測れる本のような気がしました。

 

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『能ー650年続いた仕掛けとはー』安田登・著 新潮新書

能  650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

能 650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

  • 作者:安田 登
  • 発売日: 2017/09/14
  • メディア: 新書
 

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内容として特に興味をそそられたのが、主人公の武士が修羅道や地獄に堕ちるストーリーの多い能を江戸幕府が庇護した主目的は「敗者の鎮魂」であったという話と、

そして幕府から与えられた鎮魂、それも「源義経の魂を鎮める」というミッションが芭蕉のおくのほそ道にはあった、という説。

後半のミッションの話は著者の仮説ですが、読んでいるとあながち間違っていない気がして、かなり興味深い内容です。

 

芭蕉以外に能を習っていた文人は近代にも多くいたようです。

特に漱石の作品には能の影響が色濃く出ているものがあり、中でも主人公が旅に出る『草枕』は「能を通して世の中を見る」という『おくのほそ道』と似通った設定(芭蕉は自身を能のシテ方と設定して旅をした)で物語が進みます。

 

かねてから太宰や漱石などの近代文学作品を読んでみたいと思いつつ、どうも食指が動かなかったんですが、これを機に『おくのほそ道』と合わせて『草枕』『夢十夜』から読んでみようと思います。

そしてこの本も、年を経て能の経験値が増えた時にもう一度読み返したいと思います。

能  650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

能 650年続いた仕掛けとは (新潮新書)

  • 作者:安田 登
  • 発売日: 2017/09/14
  • メディア: 新書
 

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■目次■

はじめに

第1章 能はこうして生き残った

第2章 能はこんなに変わってきた

第3章 能はこんな風に愛された

第4章 能にはこんな仕掛けが隠されていた

第5章 世阿弥はこんなにすごかった

第6章 能は漱石芭蕉をこんなに変えた

第7章 能は妄想力をつくってきた

第8章 能を知るとこんなにいいことがある

<付録>「能を観たい、習ってみたい、知りたい」方へ

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今日はこのへんで。

ではまた。

 

最後に。

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