【映画】1917 命をかけた伝令★4.5〜美しい自然のなかで繰り広がる戦争と人間の愚かさ
人生初の二本立てで映画鑑賞したぼく(ぼくみん (@b0kumin) on Twitter)です。
この映画は、全編ワンカットという面白い撮影方法に惹かれて鑑賞しました。
あらすじはこんな感じ。
第一次大戦下のフランス北部が舞台。
敵対するドイツ軍が前線を後退させたのを機と見てイギリス軍が追撃しようと考える。
しかし、その後退は罠で、追撃してくるイギリス軍を大軍でもって迎撃壊滅しようとドイツ軍は画策していた。
航空写真でその罠の存在を知った後方の司令本部は、ドイツ軍追撃のために前線を押し進めているイギリス軍第二大隊に攻撃中止の命令を伝えようと、地図に強いある兵士を伝令係に任命する。
総攻撃が始まるのは明朝の8時間後。伝令は伝えられ、1600人の兵士の命は救われるのか。
このストーリーは、1917年に実際に出征したサム・メンデス監督のおじいさんが戦場で担っていた各指揮所に指示を伝える伝令役の話をベースに監督自ら脚本にしたものです。
以下【ネタバレなし】に感想を書いていきます。
早速の評価ですが、【この映画は★4.5だ】とぼくは思いました。
まるで戦場にいるかのような没入感(腹まで響くIMAXの音響が助長してくれた)と、ワンカットという特別な撮影手法で観客をコントロールする非常に面白い映画だと思いました。
ただ、繰り返し観て楽しむ映画(そういう映画は★5)かと言えばそうではないのでこの評価です。
理由を詳しく書いていきます。
まず、戦場にいるかのような没入感について。
あらすじからも分かるように、設定は非常にシンプルです。まるで走れメロス。
そして、上からの命令で戦闘以外の目的で激戦地に単身乗り込む、という点ではプライベートライアンにも似ています。しかし、プライベートライアンよりもよりリアルな戦争体験、強い没入感を得ました。それは後述する撮影手法に拠るところが大きいでしょうが、戦死した人を餌にするネズミやカラスなど生きた動物がたくさん出てくるのも、プライベートライアンと違ってより強い現実感を生んでいたと思います。
そして、ワンカットについて。
「全編ワンカット」を謳っていましたが、実際は「全編」ではなく大きな場面転換以外はカットがないというものでした。
そして観ていてすごく疲れた映画。笑
如何に映像のカットが人の緊張を緩めるかを知った映画体験でした。
また、ひたすら主人公をフォーカスし続けてくれたので、次第に自分も主人公のそばに立って見ているような錯覚を持ち始めます。
出典:https://youtu.be/sU0FScoQrxY
そのための工夫として、カメラの動線とカメラワーク、映される人の動線を予め計算しつくして撮影された、非常にチャレンジングな撮影手法だと感じました。
さらに付け加えると、自然と人間の対比も一つの魅力でした。
冒頭が草木生い茂る草原で休息を取るシーンから始まるように、この映画は意図的に緑の自然を多く映しているように感じました。
出典:https://youtu.be/41XqzhH8a04
花咲き誇り新緑芽吹く自然の美しさを描くことで、その対比として何ヶ月何年も戦争を続けて全てを破壊していく人間の愚かさと、1秒でも気を緩めると死につながる切迫した人間の時間軸とゆったり流れる自然の時間軸の対比が際立って感じ、他の戦争映画にはない魅力に感じました。
映画鑑賞後に「そういえば第一次大戦の日本軍を描いた作品がない」と歴史マニアの友人が面白い指摘をしていました。
調べてみたところ、『バルトの楽園』は第一次大戦下の日本を描いた映画でしたが、他には確かに第一次大戦の戦地での日本軍の映画はありませんでした。もし知っていたら教えてください。
『バルトの楽園』は、ドイツ人捕虜への人道的な対応が評価され、ベートーベンの第九が日本の徳島県にてアジアで初めて演奏されたエピソードを元に作られたものです。
第一次大戦下の日本軍の映画、着眼点を工夫すれば面白い脚本ができそうな気がしますね。
今日はこのへんで。
ではまた。
最後に。
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