ぼくはこう思う、みんなはどう?

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【映画】パラサイト鑑賞で出た疑問〜パク社長夫人が英語を交えて話すのはなぜ?

パラサイトにどハマり中のぼく(ぼくみん (@b0kumin) on Twitter)です。

以前の投稿で、パラサイトを観て韓国の実情を知りたくなった、と【映画】パラサイト 半地下の家族★5〜あなたの隣にいる人は本当に信じられる人ですか? - ぼくはこう思う、みんなはどう?で書きました。

 

観る人の感情の振られ幅がすごい、【コメディで、サスペンスで、メタファー満載で、社会風刺に溢れたこの映画をより深く知りたい】とぼくは思いました。

 

そんなぼくの欲求を満たしてくれたサイトを3つご紹介し、これらのサイトを中心に、映画を見て湧いた疑問を解いていきます。

https://bunshun.jp/articles/-/34479?device=smartphone&page=1

https://bunshun.jp/articles/-/27229?page=1

https://bunshun.jp/articles/-/36256

すでにパラサイトを鑑賞済みという方も、今回の疑問を解いた上で改めて鑑賞すればその味わい方は一段と深くなるでしょう。

 

今回解消する疑問はこの5つ。

 Q.半地下って本当にあるの?

 Q.警備員1名の募集に大卒者など500人が殺到する、ってほんと?

 Q.半地下に住む人の匂いって?

 Q.なぜ韓国ではボーイスカウトは人気がある?

 Q.パク社長夫人が英語を交えて話すのはなぜ?

 

・・・・

Q.半地下って本当にあるの?

A.ある。

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いわゆる住宅貧困層の住居で、他にも屋根部屋考試院という家がある。


屋根部屋は、韓流ドラマでよく登場する屋上にある仮設住宅だが、上水・暖房設備が劣悪で夏暑く冬寒い家。

考試院は、受験生のための寮のような狭い部屋。住居法の影響を受けない施設に分類されるので、窓なしや部屋の真ん中に柱があるなど、いびつな家が多い。

地下部屋(半地下部屋)」「屋根部屋」「考試院」の頭文字をとった「地屋考(チオッコ)」は「地獄の苦しみ(チオッコ)」と同じ発音で、その悲惨さが感じられるネーミングになっています。

 

そして「半地下」の成り立ちは、元は対北朝鮮の攻撃に備えて作られた防空壕を兼ねた地下室。その防空壕がのちに「半地下」として貧困層が暮らす部屋となったそうです。

北朝鮮という緊迫した国際情勢があったからこそ、この映画が生まれたと言ってもいいでしょう。

 

 

Q.警備員1名の募集に大卒者など500人が殺到する、ってほんと?

A.十分ありえる。

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実際に、2019年に釜山にある証券博物館で2人の警備員を募集した際には、計553名(大卒以上の者が331人)が応募。

詳しくは、https://bunshun.jp/articles/-/34479を読んでみてください。

 


Q.半地下に住む人の匂いって?

A.カビ臭さなどは考えられるが、特有の匂いがあるわけではない。

ただ、「パラサイト」において"匂い"もひとつの重要なキーワード。

f:id:hundreds_of_works:20200224160553p:image

ポン・ジュノ監督がインタビューで言うには「韓国社会では、金持ちと貧しい人の動線はあまり重ならない」が、本作では貧困家族がパラサイトすることでその動線は濃く重なります。

また「匂いというのは、実は人間の状況や立場が表れる」とも言っています。


確かに"匂い"がきっかけで、パク社長に対する暗い感情がギテクの心に生まれ、最後に決定的な事件が起きたのも"匂い"。

本作において匂いはかなり重要なキーワードになっています。

 


Q.なぜ韓国ではボーイスカウトは人気がある?

A.入試に必要なスペック(入学を志望する学校に提出するための自己紹介書に書ける有利な経歴)だから。

f:id:hundreds_of_works:20200224160930j:image出典:New Planetエンターテインメント

ちなみに、ボーイスカウトは1年の会費だけで数十万ウォン(数万円)かかり、他にユニフォーム代や活動費など家計には大きな負担。

チェ・ウシク演じる貧困家庭の長男ギウがボーイスカウト出身というのは、この家庭が最初から貧困層ではなかったという背景が透けて見えるとのこと。

 

 

Q.パク社長夫人が英語を交えて話すのはなぜ?

A.成り上がり社長夫人の背伸び

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韓国社会では英語が話せるかどうかが、「能力」であると同時に「身分」を示す意味合いもあります。

1993年から韓国では英語教育ブームがあり、学校での英語教育が強化された背景があるそうです。

そして、金持ち夫人ヨンギョ役のチョ・ヨジョンはインタビューで監督からは次のように説明を受けたと言っています。

「ヨンギョは大学2、3年生の時に妊娠して、すぐに主婦になった。夫の社会的地位に歩調を合わせたいと努力している」

社会的に成功した夫にふさわしい人間として振る舞うために英語まじりで話す必要があった、あるいは潜在的にその意識が働いているということです。

 

アメリカ」というくくりで話をするならば、金持ち息子がどしゃ降りの庭でテントにこもるシーンで、屋内からそれを見守る金持ち夫婦からは「アメリカ製だから大丈夫」というセリフが出ます。

これは対アメリカという非常にデリケートな韓国の国際情勢を示唆していると考えられます。

 

このように韓国の格差社会の実情を捉え、映画としての面白さをふんだんに盛り込みつつ、2時間強にまとめたポン監督の手腕に拍手を送りたいと思います。

ポン・ジュノ監督、リスペクト!

 

パラサイト、また観に行きます。

今日はこのへんで。

ではまた。

 

最後に。

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