【地名】「新木場」その地名は歴史の足跡だった〜地名を読み解くシリーズ第4弾
先週末は外出自粛で家に引きこもって地名ハンターしていたぼく(ぼくみん (@b0kumin) on Twitter)です。
おかげさまで、地名を読み解くシリーズ3連続。地名を調べるうちに予想外の歴史が顔を出す瞬間がたまらない、個人的に非常に好きなシリーズです。
新木場(しんきば)は、第1弾で紹介した「東雲(しののめ)」がすぐそばにあり、南側に東京ゲートブリッジや若洲海浜公園、東京湾が臨む臨海部のビジネス街として栄える街です。
出典:GoogleMap
この街で一般の人が多く訪れる場所といえば、ライブハウスのSTUDIO COAST。
キャパシティはスタンディングで2,402人で、関東でこれよりも規模を広げると豊洲PITや日本武道館、横浜アリーナなどになる、都内最大クラスのライブハウスです。週末にはクラブイベントageHaも行われています。
出典:「ageHa」が彩る最高の夜に熱狂! 日本最大級のクラブイベントの魅力紹介! - おすすめ旅行を探すならトラベルブック(TravelBook)
華やかな一面も持つ新木場ですが、名前に「木」がつく通り、木材に関連する場所なのかな、という推測はたちます。
実際に駅周辺にはオフィスビル以外に、製材工場や木工工場などが見られ、木材加工で一定の経済が回っている雰囲気が見られます。
ではなぜこの場所で新木場は栄えたのでしょうか。
今回はこのあたりを探っていこうと思います。
まず、新木場の名前にある「木場」というのは貯木場、資材置き場を意味します。
下の空中写真(1989年撮影)からも分かるように材木を海面に浮かべて保管しています。
出典:Wikipedia
新木場の貯木場はT字型をした小島によって南北に分かれており、北は14号地第1貯木場、南は14号地第2貯木場となっています。
出典:GoogleMap
丸太は地面に平積みではなくて、海に浮かべて保管するんですね。
これらの貯水場は現在でも機能していますが、すでに丸太の形で木材を輸入する時代ではないため、貯木場のほとんどは使用されないままになっています。
木材の輸入のされ方、そして木材そのものの需要の低下で、新木場の街はオフィスビルやライブハウスを誘致して経済の転換を図る必要があったわけです。
新木場の木場(貯木場)の話をしましたが、その名の通り木場という地名もあります。
出典:GoogleMap
木場(新木場から北北西に6kmの位置)が埋め立てによって内陸となった1969年以降は荒川の河口に近い沖合の埋立地に新たな貯木場=「新木場」が作られ、役割がそちらに移ったのが現在の新木場です。
ちなみに、木場が最初の貯木場かというとそれは違って、江戸の初期は深川元木場(現在の江東区福住あたり、現在その名前は廃止)、日比谷入江にありました。
家康が入府した当時の江戸は、現在の皇居外苑のあたりまで海が迫っており、家康は都市開発のために神田山(現在の御茶ノ水、駿河台あたり)を切り崩した土で日比谷入江を埋め立てました。
出典:江戸幕府以前の江戸
日比谷入江が埋め立てられて材木の取引が不便になると新しい埋立地へと材木商人が集まる材木町も移ります。
都市開発や幕府による召し上げ、埋め立てなどで何度かの貯木場の移転があって現在の新木場に落ち着いたわけですが、どこであっても海辺である、ということが絶対条件でした。
それは第一に、海路で材木が江戸や東京に運ばれたから。
そして、火事の多い江戸にあって材木の需要が高く、延焼材にもなり得る材木を江戸市中から遠ざける必要があったことに加え、材木の品質管理という点でも海辺は最も適していました。
なぜなら、丸太はそのまま置いておくと乾燥によるひび割れや虫喰いが発生します。丸太の割れを防ぐ場所として水中、特に海水と淡水が混じる汽水が丸太の保管に最も適した場所だったのです。
江戸時代には欠かせなかった材木の貯木場「木場」が江戸の都市開発に伴って移転を繰り返し、移転先でそれぞれ名前がつけられる。
歴史の足跡を見ているようで非常に興味深いですね。
今回は「新木場」の地名を読み解きました。
また次の興味深い地名とその歴史を紐解いていきます。
今日はこのへんで。
ではまた。
最後に。
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