【地名】「溜池山王」川の流れに沿って点在する江戸の名残り〜地名を読み解くシリーズ第5弾
警官の前を通るときは、警官側に体の全神経が偏りがち。ぼく(ぼくみん (@b0kumin) on Twitter)です。
東京観光をする大人の方には、半日ぐらい時間を割いて日比谷→霞ヶ関(官庁群)→国会議事堂→首相官邸を歩いて周ることをお勧めします。「これが日本の政治の中心か」と胸高まるものを感じます。
ビジネス街であり、また、首相官邸や国会議事堂、米国大使館が近くにある日本の政治経済の中心の一つと言えるエリアにある駅です。
出典:GoogleMap
この「溜池山王」。近くに池も山もなく、初めて聞くといびつに感じる名前ですよね。
今回は、東京メトロ銀座線の「溜池山王」という駅名を読み解いていきます。
※ 今回の記事で注釈がない画像はすべて「大江戸今昔めぐり」アプリから引用です。
少しいびつに聞こえる溜池山王は、溜池と山王の合成語です。
溜池山王駅が現在ある場所、かつて江戸時代には大きな溜め池があり、駅の北方には山王とも異称される日枝(ひえ)神社があるため、この2つが合わさって名前がつけられました。
溜め池と言っても自然にできたものではなく人口の池で、江戸城の外堀であると同時に飲料用の上水ダムとして利用されていました。
以下、溜池の由来 | 地域情報TOKYOさんぽからの転載です。
長さ1.4km、幅45m~190mといった大きさで、かなり細長い池でひょうたん池とも呼ばれていました。
慶長11年(1606年)に家康に恩義を感じた和歌山藩主浅野幸長の家臣矢島長雲が、現在の特許庁前交差点附近に堰を造って水をせき止めたのが本格的な溜池の始まりでした。堰を越えて流れ落ちる水の音が大きく、「赤坂のドンドン」と呼ばれて、徳川秀忠の時代には、琵琶湖の鮒や京都の淀の鯉を放したり、蓮の花を 植えたりして上野の不忍池に匹敵する江戸名所になり、その眺望は四季を通じて美しかったようです。
江戸城は内堀と外堀の二つのお堀に守られていました。
出典:Social Studies
内堀は現在とほぼ変わらないものですが、外堀は埋め立てによって溜池山王や鍛冶橋といった名前を残すのみの場所も多くあります。
外堀の水源となる神田上水から流れた水は飯田橋のところで二手に分かれます。
水道橋ー御茶ノ水ー秋葉原ー浅草橋と続いて隅田川に流れ込む神田川(水道橋で分岐して内堀の方にも流れる)と、現在の市ヶ谷ー四ツ谷ー赤坂見附ー溜池山王ー内幸町…と続く外堀の水路です。
外堀の水路は、現在の銀座八丁目のあたりで二手にルートが分かれます。一つ目のルートは北東に向きを変えて、三十間堀(さんじっけんぼり:現在の新橋駅西側ー室町あたり)から八丁堀、隅田川へと流れるルート。
京葉線と日比谷線の駅名でもある八丁堀は、その名の通りお堀だったのです。
開削された堀の長さが約8町(約873m:京橋ジャンクションー八丁堀駅東端付近)あったため「八町堀」と呼ばれ、後に「町」が略字の「丁」となって現在の名前になりました。
外堀下流のもう一つのルートは、南南東に向きを変えて浜離宮恩賜庭園の手前でさらに二手に分かれて汐留川と築地川に名前を変えます。
汐留という地名は、江戸城外堀に潮の干満が及ばないよう海と堀とを仕切る堰があったため、この地域が潮溜りになっていたことに由来します。
町名はなくなった汐留ですが、汐留駅や電通本社ビルや日テレ本社ビルなどが入る汐留シオサイトなどにその名残があります。
また築地は文字通り「土地を築く」、埋め立ててできた土地という意味です。
出典:江戸幕府以前の江戸
埋め立ててできた土地に作られたのが、築地本願寺。ただ、築地本願寺は元は日本橋横山町にありました。
出典:Wikipedia
1617年に西本願寺の別院として浅草橋門の南、横山町(現在の日本橋横山町、東日本橋)に作られたのが築地本願寺のはじまりで、火事によって本堂を焼失した際に、区画整理を理由に元の場所に再建することを江戸幕府に認められず、代わりに提示されたのが今の場所でした。
しかし与えられた土地は海で、佃島の門徒が中心となって本堂再建のために海を埋め立ててできた土地が今の築地だったのです。
今回は溜池山王にはじまり、八丁堀、汐留、築地の地名の由来を知ることができました。
今でこそ溜池山王や八丁堀は埋め立てられてその存在を知る由も有りませんが、そこには確かに溜め池が、お堀が、川があったのだと地名は我々に教えてくれているんですね。
今日はこのへんで。
ではまた。
最後に。
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